浴室のカビにお困りではありませんか。掃除しても掃除しても、しばらくするとまた黒い点々が出てくる——札幌でお客様のお宅にうかがっていると、本当によく聞くお悩みです。そんな方にいちばんお伝えしたいことは、じつはとてもシンプルです。浴室の換気扇は、まわしっぱなしにしてください。
いちばん伝えたいこと:換気扇は24時間まわした方がいい
入浴後に30分だけ、あるいは1時間だけ——という使い方をされているお宅が多いのですが、それだと浴室の奥や天井、目地のあたりはまだしっかり湿っていることがほとんどです。理由は後ほど詳しく説明しますが、24時間まわしっぱなしにしておくと、カビが目に見えて生えづらくなります。電気代も、後半で実際に計算していますが、思っているよりずっと安く済みます。
ただし、お使いの換気扇の機種によっては、24時間の連続運転が向かないものもあります。そのあたりの見分け方も含めて、順番にご説明します。
なぜ24時間まわすとカビが生えにくくなるのか
カビが生えるには条件があります。TOTOの浴室の取扱説明書には、こう書かれています。
カビは、高温・多湿・栄養の3つがそろうと繁殖します。栄養源となる汚れをしっかり洗い落とし、十分換気することで、カビを生えにくくします。
TOTO ユニットバスルーム 取扱説明書より
この3つのうち、温度は入浴する以上どうしようもありません。栄養(皮脂汚れや石けんカス)も、毎日完璧に洗い流すのは大変です。いちばん現実的にコントロールできるのが「湿度」——つまり換気なのです。
浴室は密閉された空間で、壁も床も天井も水に濡れています。換気扇を止めてしまうと、その水分が浴室の中にとどまり続けます。特に北海道の冬は、外が寒いぶん浴室の壁が冷えて結露しやすく、換気を止めるとなかなか乾きません。逆に言えば、換気扇をまわし続けて浴室を「乾いた状態」に保っておけば、カビはそもそも根を張れないということです。
すでに生えている黒カビも減っていきます
「もう黒カビが生えてしまっているから、今さら換気しても遅いのでは」と思われるかもしれません。ところが、そうでもないのです。
この記事を書いた当社スタッフが、自宅の浴室で実際に試してみました。黒カビがすでに出ている状態から、換気扇を24時間まわしっぱなしに切り替えて様子を見たところ、数週間で目に見えて黒カビが減りました。ゴシゴシこすったわけでも、強力な薬剤を使ったわけでもありません。ただ乾かし続けただけです。
カビも生き物ですから、水分がなくなれば増えることができません。増えられなければ、日々の入浴とシャワーで少しずつ洗い流されていきます。
※あくまで当社スタッフ宅での体感であり、すべてのお宅で同じ結果になることを保証するものではありません。カビの根が素材の奥まで入り込んでいる場合は、換気だけでは落ちないこともあります。
気になる電気代は?北海道で計算してみました

「まわしっぱなしにしたら電気代が大変なことになるのでは」——これがいちばん多いご質問です。実際に計算してみましょう。
参考機種として、浴室でよく使われている三菱電機の天井埋込形換気扇VD-10ZCとVD-13ZCの2機種で計算します。北海道電力の周波数は50Hzですので、50Hz時の消費電力を使います。
| 機種 | 消費電力(50Hz) | 1日 | 1か月(30日) | 1年 |
|---|---|---|---|---|
| VD-10ZC | 7.2W | 約7円 | 約220円 | 約2,650円 |
| VD-13ZC | 13W | 約13円 | 約390円 | 約4,780円 |
いかがでしょうか。1日あたり7円〜13円、1か月でも220円〜390円程度。缶コーヒー2〜3本分です。カビ取り剤を毎月買うことや、カビだらけになって浴室をリフォームすることを考えれば、かなり安い保険だと思います。
ちなみにこれは、換気扇を通常運転で24時間まわし続けた場合の金額です。後述する24時間換気機能付きの機種で「弱」運転を使えば、電気代はさらに下がります。
注意:24時間の連続運転に向かない換気扇もあります
ここは大切なところです。すべての換気扇が24時間の連続運転を前提に作られているわけではありません。三菱電機は、公式のよくあるご質問でこう説明しています。
24時間換気機能付換気扇は、建築基準法でシックハウス対策のひとつとして義務付けられている「計画的な換気」を行うための換気扇です。規定の換気回数以上での常時換気、つまり24時間換気を行う上で必要な運転特性を備えています。そのため、24時間換気機能付きではないものを24時間運転したり、強設定で24時間連続運転をすると、想定より経年劣化を早めたり早期の故障を誘発するなど、製品寿命が短くなることがあります。
三菱電機 よくあるご質問より
24時間換気に対応した機種を選ぶなら
三菱電機のダクト用換気扇の場合、型番に「ZLC」が入っているもの(VD-10ZLC、VD-13ZLCなど)が24時間換気機能付きのタイプです。「強/弱/切」の3段階スイッチが付いていて、ふだんは「弱」で静かにまわし続け、入浴の前後だけ「強」にする、という使い方ができます。連続運転を前提に設計されているので寿命の心配をせずにまわしっぱなしにできますし、「弱」なら電気代も上の表よりさらに安くなります。
なお、24時間換気をきちんと機能させるには換気扇だけでなく、新鮮な空気を取り込む給気口や、ドアのガラリ(通気口)が必要です。空気の入り口がないまま排気だけしても、思ったように換気されません。ここはお宅ごとの設備によって条件が変わりますので、実際に見せていただくのが確実です。
対応しているか分からないときは「浴室が完全に乾くまで」
ご自宅の換気扇が24時間換気に対応しているか分からない、あるいは対応していない機種だと分かっている——という場合は、無理に24時間まわす必要はありません。かわりに、こうしてください。
- 浴室の壁・床・天井が完全に乾くまで、換気扇をまわし続ける
- 時間で区切らず、実際に手で触って乾いているかどうかで判断する
- 入浴中と入浴後はドアを閉めておく(開けると湿気が脱衣所に流れ、換気の効率が落ちます)
- 浴室に窓がある場合も、冬場は開けずに換気扇を使った方が確実です
目安としては、最後の入浴から2〜3時間ほど。ただし北海道の冬や、湿度の高い夏場はもっとかかります。「30分で止める」ではなく「乾いたら止める」に切り替えるだけでも、カビの出方はかなり変わります。
コーキングのカビは「打ち直し」も検討を
壁と床の境目、浴槽のまわりなどに入っている白いゴム状の部分——これがコーキング(シーリング)です。ここに黒カビが出てしまうと、実は表面を拭いても落ちません。
コーキング材は柔らかい樹脂なので、カビの根が内部まで入り込んでしまいます。黒く見えているのは「汚れ」ではなく、コーキングそのものが内側から黒くなっている状態です。こうなると、どんなカビ取り剤を使っても元の白さには戻りません。
この場合は、古いコーキングをきれいに撤去して新しく打ち直すのがいちばん確実です。見た目が新品同様になるだけでなく、劣化したコーキングの隙間から水が入り込むのを防ぐという意味でも効果があります。カビ取りを繰り返して消耗するより、思い切って打ち直した方が結果的に早いことが多いです。
ユニットバスの壁に「カビキラーを吹いて放置」は基本NGです
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。カビキラーなどの塩素系カビ取り剤は、CMのイメージから「浴室ならどこにでも使えるもの」と思われがちです。しかしユニットバスの壁に全面スプレーして放置する、という使い方は避けてください。
理由①:ユニットバスの壁は「鋼板にフィルムを貼った」製品が多い
タイル張りの昔ながらのお風呂と違い、現在のユニットバスの壁パネルには塩ビ鋼板(鋼板の表面に樹脂フィルムを貼ったもの)が広く使われています。見た目は樹脂やタイル調でも、中身は金属というわけです。
表面のフィルムが無傷なうちはいいのですが、長年使ううちに細かい傷が入ったり、パネルの継ぎ目や小口から水分が入り込むことがあります。そこに強アルカリ性の塩素系薬剤が入り込むと、下地の鋼板がサビて、壁が内側から膨れたり変色したりします。こうなるとパネル交換しか手がなく、修理費は数万円から十数万円になることもあります。
理由②:ドアや金属部品も腐食します
浴室のドア枠や換気口、水栓金具のめっき部分など、浴室には金属部品がたくさん使われています。特にアルミ製のドア枠は塩素系の薬剤に弱く、白く粉を吹いたようになったり腐食したりします。これはメーカーの取扱説明書にもきちんと書かれています。
めっき部品や金属部品には使わない。長時間放置しない。使用後は十分洗い流す。(変色やシミの原因)
TOTO ユニットバスルーム 取扱説明書「お手入れ用品・洗剤」より
同じ説明書の中で、カビ取り剤は「注意して使う」洗剤に分類されており、「目立たない箇所などで試してから使う」「必要時のみ使い、常用は避ける」とも書かれています。さらに浴槽については、固形または粉末の塩素系洗浄剤・漂白剤・防カビ剤は「使用しない」と明記されています(水や湿気に反応して発生するガスにより金属が腐食し、ゴムが劣化して水漏れの原因になるため)。
理由③:もともとタイル風呂を想定した商品です
塩素系カビ取り剤は、タイルの目地やゴムパッキンといった「薬剤が染み込んでも下地が腐らない場所」のカビを落とすことを主眼に作られています。ユニットバスの壁一面に吹き付けて放置する使い方は、そもそも想定されていません。
では、どうすればいいのか
- 日常のお掃除は「浴室用中性洗剤」で。これが基本です
- カビ取り剤を使うなら、目地やゴムパッキンなど、必要な場所にピンポイントで
- 使ったら放置せず、すぐに十分洗い流す
- 金属部・めっき部・ドア枠にはかからないようにする
- 使用前に、お使いの浴室の取扱説明書を必ず確認する(メーカー・製品によって使える洗剤が違います)
- そして何より、換気で乾かしてカビを生やさないこと
結局のところ、強い薬剤に頼らずに済むのがいちばんです。そのための24時間換気なのです。
もうひと手間:入浴後に水切りワイパーを使う

換気扇にもうひとつ加えるなら、これが効きます。お風呂から上がる前に、水切りワイパーで壁と床の水滴を落としておくこと。
ガラスの掃除に使うあのT字型の道具です。壁を上から下へ、鏡やドアも同じように一往復させるだけ。慣れれば1〜2分で終わります。
浴室に残った水滴は、そのままにしておいても換気扇が乾かしてくれますが、その分だけ時間がかかります。あらかじめ物理的に水を落としておけば乾くまでの時間が大幅に短くなり、カビが根を張るチャンスがなくなります。水滴が乾いたあとに残る白い水アカ(水道水のミネラル分)も付きにくくなるので、鏡や壁がきれいなまま保てるという副次的なメリットもあります。
「換気扇をまわす」+「水滴を切る」。この2つだけで、浴室のカビはかなり違ってきます。
まとめ
- 浴室のカビ対策でいちばん効くのは「乾かすこと」=換気
- 24時間換気に対応した機種なら、まわしっぱなしがおすすめ
- 電気代は1か月220円〜390円程度(北海道電力・50Hzで試算)
- 対応機種か分からないときは、浴室が完全に乾くまでまわす
- すでに生えた黒カビも、乾かし続けることで減っていきます
- コーキングのカビは打ち直しも検討を
- ユニットバスの壁への塩素系カビ取り剤の全面使用はNG。中性洗剤とこまめな換気が基本
- 入浴後の水切りワイパーでさらに効果アップ
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